ちばりのち晴れ

'19年3月から1年の台湾語学留学を経験、高校卒業を起に突っ走る台湾奔走記

【感想】「第36回外国人による日本語弁論大会」に行ってきた

こんにちは、たほ(@taho1932)です。

毎度「次回は〜」と文末に言っておいてまともに関連した記事を更新してません。そんなわたしですがまたまた脱線していきます。よろしくお願いします…… :)
今週末に学校登校を全て終え、就職休みが始まりました!渡台まで3週間です。掃除全然終わらない。

就職休み初日に好奇心のまま「外国人による日本語弁論大会」なる大会イベントに足を運んでみましたが、外国人留学生の核心突いたスピーチの数々に衝撃を受け、こうしてポチポチと衝動のままに文字を打ち込んでいたら編集画面で7000文字越えと過去最高に長くなりました。


外国人留学生が何を考え問題提起をしているのか。今回もどうぞお付き合いください。



⚠︎録音などは一切行わず、記憶を頼りに内容を掻い摘んで書き起こしています。誇張して書かないよう十分に気をつけて感想を書いていますが、何か問題があった場合は即刻、削除などの対応を取ります。。



「外国人による日本語弁論大会」って何?


最初に今回わたしが足を運んだ大会ですが、こちらです。

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https://kokusai.oihf.or.jp/events/1542417792/
昭和58年から毎年開催される歴史ある外国人弁論大会のようですね。知らなかった……
この大会、実は県内ではかなり規模が大きいです。例えば 司会を務めるのはNHKアナウンサー、協賛に県内では手強い大手株式会社が連なり、賞の特典がかなり大きいです。確か最優秀賞には往復航空券とかありました。他にもバスケットボール大会のペアチケットとか、万単位の商品券とか。協賛会社の貢献度や注目度の高さが垣間見えました。

個人的に、参加賞でファミチキ無料券5枚は十分でかいです(個人的意見)
図書券よりも実用的な気がしてすごく好感度高いです:D


今大会は約50人近い弁士応募者を審査で絞り、10カ国12人の弁士が弁論を披露しました。
これが皆、すごいレベルが高かった。内容も、そして日本語も上手い。さすが選びに選び抜かれた人たち…と言う感じでした。
また、民族衣装を身にまとう弁士もいれば 正装で清潔感で挑む弁士、故郷の帽子を身につけ個性を滲ませる可愛い姿がありました!
結構これは見所かな、と思います。次回気になる方にはぜひオススメしたいポイントです。


あと、何故でしょうか。若い閲覧者がすんごい少なかった
個人意見ですが、ぱっと見、若い人は全然半分もいなかったです…強いて言えば、4割弱でしょうか。
結構高齢の方が予想以上に多くて、何だか感心してしまいました。この空間では若者よりも遥かに意識の高さを感じる……

何よりも弁士の緊張をほぐす雰囲気が良かったな、と思います。
やっぱり発表の場って緊張で言葉に詰まっちゃったりする弁士の方もいるんですけど、皆「頑張れ!!」って感じで拍手とか起きるんですね。そこでリラックスして再び口を開く、とか。
茶目っ気たっぷりなお話には笑いを巻き起こしたり、反応が色彩豊かで参加していて心地良い空間でした。


だからこそすごく勿体無いな、と思いました。CMでも宣伝していた(らしい)ので幅広く集まるかな、と思いましたが。

最後の表彰式まで見届けて余韻に浸る今、「いやいやこの比率はおかしい、国際文化に興味ある子とかもっともっと聞くべきだよ…!!!」ってお節介をかましたくなりました。
いや、それくらい良かったんです。本当に。

……って、知人がいて初めて入場した学生が偉い口叩いてんじゃないよって感じですけども。
すごく色々な方面の事柄を弁士の方々の話を聞いて考えさせられました。



本題はここから。
わたしが聞いて、衝撃を受けたのはとある2人の弁論。すごく考えされられるお話をしてくれました。
記憶を頼りに、概要を記したいと思います。
(きっと後ほど受賞者の動画が公開されることかと思うので、後ほどリンク付けします。)


注目①中国出身留学生による弁論「外国人バイヤーについて」

こちらは最優秀賞にあたる県知事賞を受賞した、中国出身の弁士による弁論です。
これがまた、今の観光業界を核心突いてたであろう鋭い内容でした。

ポイントは3つ

  • 商売に重きを置くがあまり、地元そのものの雰囲気を壊しまくる観光名所に一喝

国慶節おめでとうと看板を掲げるお店に思わず笑ってしまいました。いくら商売のためとはいえ、どうして他国の文化を意識する必要があるのでしょうか。ここは、日本なのに。」

  • 観光業界は「日本は嫌いだが商売の調達のために訪れる中国人バイヤー観光客」よりも「日本の文化や名所を巡りにやって来る観光客」を大事に扱うべき

「バイヤーは自分の儲けにしてしまえばそこで終わり、だけど観光客はSNSに観光をお勧めする情報をあげ、今後のあなたたちに貢献してくれている。バイヤー目的で訪れるというのは一時的な流行に過ぎない。優先順位は明らかであるはずだ。」
「あなたたちに貢献してくれる中国人観光客が写真を 動画を撮った時、大量の中国語看板が映っていたら?中国語アナウンスがここぞとばかりに流れていたら?きっと旅の印象は良くないと思います。観光客に媚びすぎるのは、良くない。

  • バイヤーを迷惑行為と捉える地元住民の気持ちがわかった留学生活

「最初は商品を爆買いする自分と同じ中国人について、『何でよく思わないの?儲かってるのに?』と疑問に思っていたけど、こうして留学して住み続けて気づいたのです。バイヤーが爆買いをする日用品は商売のためではなく、住民の人々にとって欠かせない必要なものであることを。売り切れにされては困るものばかりだ。」



……ほらね!?若い子、聞いた方が絶対よくない!?!? 


と、現高校生は思うわけです。
だって中国出身の人視点のバイヤーの話だよ、貴重だよ、と思うんです。
密かに「やっぱ最近の観光業ってさ…」と、家族や友達と話していた内容がこれ程かと分かりやすく詰め込まれている。これを聞いて衝撃を受け、そして痛いトコを的確に突いてきたな、とすごく関心深く頷いてばかりでした。「そう!それなんだよ!」共感の嵐で震えました。

だって、最近新しくできる観光市場もなんか、全国の物産展ばかりだし……
1つの県にいながら全国制覇を体感できるって、え?誰得なの?そんなの求めてなくない?
と、素人目線に思ってしまうんです。それなら世界のTOKYOに行ってるよ、とか思うんです。

もう今の観光地は地元の人を置いてきぼりにしている。
商売に走っている、と。弁士の目にも、そういう商売目的の「おもてなし」が見え透いていたのでしょうか……


会場から近い観光名所を例に挙げて弁士はお話をしていましたが、もうまさにそんな感じ。今ではドラッグストアなんてバイヤーの方にとってはとんでもなく調達の宝庫でしょうし。
めちゃくちゃもどかしいと感じていたことを、留学生が言ってくれたんです。その時のわたしのモヤモヤの開放感は凄まじかった。

と、同時に「あ、この人優勝するわ」と思いました。
実際に県知事賞を受賞し、色々副賞でもらっていました。いや、すごかったです。
動画が公開される機会があるのなら、ぜひ一番に見てもらいたいです!



注目②ネパール出身留学生による弁論「留学生のなやみ」

ミニトマト10個で300円という値段を見てすごくびっくりしました。ネパールでは1kg、何と50円なんです。」
という、最初に笑いを誘うように日常ネタで愉快に始まりました。わたしも笑った。
タイトルの「悩み」がひらがなになることでほんの少し可愛い印象を受けますが、内容はすごく悲しかった。

テーマはずばり、お金、でしょうか。
それは家賃や物価が高いといった生活費関連のお話でもありましたが、メインはアルバイト先の給与のお話でした。

これがまた、切なかった。


弁士はネパールの知り合いの紹介のもとで、居酒屋のキッチンでアルバイトを始めます。
日本人が過半数を占めるも、ネパール出身者も数名いる職場だったそう。最初は難易度の低い皿洗いをネパール語で教わり、次第に難易度の高い役割へとテンポよく働いていきます。

(確か難易度の高い役割、というのは「料理全体の味付け」など全てができる「立板」のような役割だった気がします。弁士が説明した役割の名前を忘れてしまった……)


店長にも「その役割が任せられるようになったら、給料を上げてあげる」と言われていたそうです。とても優しく理解ある店長の言葉に、一生懸命頑張ったそうです。

ですが、役割を任されていくら待っても給料は上がらない
店長のことだからすっかり忘れているのかな?
そう思いながらも働き続けて アルバイト勤務から6ヶ月ほど経った頃、ひとりの日本人スタッフが新入りで入ってきました。弁士は何気なく新入りに給料がいくらかを尋ねると、衝撃の答えが。

「彼は自分よりも150円も高い、950円を最初から貰っていたのです。」


あ。これ、笑えないやつだ。

ドッと笑いが起こる中、真っ青になって話を聞きました。もう嫌な予感しかしないのです。あああ…と声が漏れました。



「『店長、どうして彼は半年先に働いている僕よりも150円多く貰えているんですか?』と私は聞きました。
  そうすると、店長は一言、私に言いました。

 
  『あなたは何人なの?』。」

店長はもうそれ以上言いませんでした。そして私も、もう何も言えませんでした。」



なに、それ……何、「何人ですか」って質問。

話を聞いている限り、弁士の時給は800円になります。
800円って、高校生の開始時期でも普通にいただける時給です。うわ、うわぁ………

もうわたしの心は冷え冷えです。鳥肌も薄ら立ちました。
きっと、弁士のように不平等な扱いを受けた外国人アルバイト生は数多くいるのでしょう。ただただ、聞いていて苦しかった。


後にこの弁士は審査員特別賞を頂いていました。副賞は確か、タオル。

この問題は、切実です。
大手企業が協賛の大会ということもあるので、外国人スタッフの雇用問題に前向きな姿勢をとったと解釈したいところです。

ネパール出身の弁士は今回2人いましたが、どちらもアルバイトに関する悩みを話していました。
私もネパールの留学生といえばコンビニなどでの印象が強いので、そういった「働く悩み」は全ネパール人留学生にとっては最大で共通の悩みのタネになっているのかもしれません。
ぜひ、この弁士のスピーチも見直したいです。動画化を切に願う。



今回の大会に足を運んでの感想


今回は私が特に印象強かった弁士2名にスポットライトを当てましたが、他の弁士の皆さんの弁論もすごく良かったです!

「日本人の遠慮は距離感を感じさせられる、その距離感は不要だ」
「日本人が本音を言わないのには、直で言うと失礼にあたる場面があるからと知った」
「国の印象を個人の印象とイコールにしないでほしい、私は一人の人間なんだ」

と、日本人の特徴に迫るテーマもあり、すごく聞いていて興味深かったです。考えさせられる議題が多かった。
中にはドイツ出身の高校生による難民問題への問題提起など……どのテーマよりも重く国の特徴が強い弁論もありました。

もう、全ての弁論を見てくれ若い子。


そういう気持ちでいっぱいになり、会場を出ました。


こういう弁論大会って、知り合いが出場するんです〜〜〜っていう効果じゃないとなかなか来る機会がないって私たちは思いがちですが、国際的活動に興味がある子は今時たっっっくさんいると思います。
そういう子、絶対に見にいってくれ。頼む。



……と言う気持ちです。本当に素晴らしかった。
弁士の皆さん、本当に良いスピーチをありがとうございました!!

また機会があれば行きたいと思います。